簡易シナリオ集:魂を削るもの:「第2章 自昇式機械」
【導入】
クリスマスの数日前、PCの元に老人がやってきます。一通り時候の挨拶をすませると、老人は、自らの最後の大発明のプロモーションを行うので、手伝ってほしいと切り出します。
老人が行うプロモーションとは、空を飛ぶための機械の公開実験です。実験が行われる場所はハイドパークです。老人はPCの知り合いにも手伝ってもらいたいと言います。ハイドパークで実際に空を飛ぶ公開実験を行うのは、クリスマスの翌日、26日の「ボクシングデイ」です。老人は「全世界に対する良い贈り物だろう?」と満足げに言います。
しかし、老人が訪れたその翌日から、その姿が見えないという報告が、PCの耳に入ってきます。これは老人の助手であるウィリアム・コックス氏からの報告です。彼は腕の良い技師ですが、少々感情にむらがある男です。彼は老人は誰かに連れ去られたのではないかと危惧を抱いています。既に警察にも通報されており、スコットランドヤードの『リバーブロンズ警部』が捜査に当たっているとのことです。
【展開】
しばらく経つと、老人から手紙が送られてきます。それはボクシングデイに予定通りプロモーションを行うという内容です。しかし、これは警察などには内密にしてもらいたいと書かれています。そしてそれ以下の文章は、暗号化された導引機械プログラムです(導引機械をどこかで借りて解読する必要があります)。
この「選ばれた人」に対して行われるプロモーション会場へは、暗号化された案内によってたどりつくことができます。暗号を解読すると、ハイドパークでのプロモーションは一般人を巻き込むおそれがあるので、中止し、代わりにハムステッドで行うと書かれ、文字絵で地図が描かれています。
■用意すべきデータ:ハムステッドの地図
■用意すべきデータ:導引機械暗号とその解読法
ハムステッドには長大な逞しい鉄骨を組んで作った発射台が組まれています。発射台の根元には、奇妙な形をした機械が設置されています。案内を受け取ったキャラクターは、それが老人の作成した空中を散歩するための機械なのだろうと悟ることができるでしょう。老人はその機械に乗り込み、大空高く舞い上がろうというのです。
しかし、そこにリバーブロンズ警部が馬車を飛ばしてやってきます。通報を受けて遅れてやってきた警部は、「中止だ中止!」と大声を張り上げながらプロモーションを中止させようとします。集まっている人々は大混乱を起こします。
【結末】
老人は時間になると、衆人環視のもと大空高く打ち上げられます。そしてその機械は空をしばらくの間彷徨うと、突然四散します。誰もがその光景を疑うでしょう。
「あれは老人の魂が天国へと昇るための機械だったのだろうか」と、リバーブロンズ警部が口惜しそうにぽつりと口にします。
しかし、それを聞いていた助手のウイリアム・コックスは、「デッドエンド老人は、謎の言葉を言い残して死んだ。それは、「絶望の種」は、これで完成した、という言葉だった」とPCの一人に告げます。
【備考】
シナリオ自体は、暗号を解き、時間通りにたどり着ければあとは自動的に次のシナリオへと接続ができるでしょう。なお、デッドエンド老人は死亡していません。警部が出現した段階で、装置から逃げ出しています。
後ほどのシナリオで、この機械の打ち上げ台が、実は「『絶望』をもたらす遠隔発振器」そのものであるとわかります。これが「絶望の種」の意味です。
実は飛行機械に爆薬をしかけたのは、ハンドレッド・コークスです。しかし、このシナリオに彼の姿は出現しません。この結果、老人は逆上して復讐劇に走ります。
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